歴史

注記。「カルヴァドス」という名称は、フランス北部ノルマンディー地方のカルヴァドス均衡で生産されるアップルブランデーを指す場合にのみ使用することができます。

古代ギリシャ人やヘブライ人はワインやシードルの作り方を知っていました。蒸留に関する最初の知識は、8世紀のアラビアにまでさかのぼります。ヨーロッパのいくつかの地域ではすぐに、より強いアルコールに親しむようになりました。当初は神秘的な生命の水として、主に薬屋や錬金術師、修道士の間で関心が持たれていましたが、16世紀までには、ウィスキー、ラム、ジン、テキーラそしてブランデーとして、一般人のグラスに注がれるようにもなりました。

ブドウの栽培に適した温暖な国々とは異なり、風が吹きすさぶノルマンディーはリンゴの栽培に適していました。伝説のカマンベールチーズもノルマンディー産です。

もちろん、豚のローストや、魚または魚介類のクリームソースなど健康的で食べ応えのある料理をいただくには、不適切な量の飲み物も必要でした。当初は発酵したアップルジュースを飲んで消化を助けていましたが、後により強い飲み物に置き換えられました。

ブランデーがいつ最初にリンゴサイダーから作られたのかは、正確にはわかりません。1553年の文献は、ストロングサイダーまたはサイダーブランデーと呼ばれる飲み物について触れています。皮肉なことに、愛国的なフランス人は、最もユニークな飲み物の名前をスペイン人から借りたと思われます。言い伝えによれば、1588年、スペイン王フェリペ2世の無敵艦隊エル・カルヴァドールがノルマンディー沖で難破し、地元の人々がこの地をカルヴァドールと呼ぶようになったといいます。その後、この名前がフランス語のカルヴァドスによって取って代わりました。1790年、この地方の名前がフランスの地図に正式に登録されました。

1世紀前、カルヴァドスの90％は地元の畜産農家の農場で生産されていました。カルヴァドスは、少なくとも個人的に使用するために、ほぼすべての農場でチーズやパンとして生産されました。

1942年、原産地呼称統制規則（Appelation d’Origine Contrôlée rules、以下AOC）の採用が、急激な変化をもたらしました。現在、カルヴァドスの85パーセントから90パーセントが大規模なシードルで生産されています。カルヴァドス発祥の地には、約6,000の認可生産者がいます。生産されるカルヴァドスのうち、約50パーセントが輸出されます。

この地域は、AOC規則によって生産が規制されており、約200種類のリンゴと900万本以上の果樹があります。サイダーの製造に使用されるリンゴは、甘く、苦く、酸っぱいものです。さらに、飲み物に酸味を増すために小さな青い梨を使うこともあります。1本のカルヴァドスには10から11リットルのリンゴワインと約12キログラムのリンゴが必要です。リンゴに含まれる糖分が果汁を自然に発酵させるため、フレッシュジュースに砂糖は加えず、アルコール度数4.5から6パーセントのシードルに仕上げます。

ゴルフボール大の小さなリンゴや洋ナシは、見た目も良くなく、美味しくもありませんが、風味を長持ちさせる際に不可欠なタンニンを豊富に含んでいます。この魅力がないリンゴたちが、これほど神々しい飲み物になるとは驚きです。

最初の蒸留では、アルコール度20から30パーセントの飲み物が作られます。2回目の蒸留では、アルコール度約70パーセントの飲み物が作られます。これは、若いカルヴァドスと考えられます。オーク樽やそのほかの木樽で熟成させることで、真の風味と色合いを獲得します。カルヴァドスの強さを抑えるために、わずかな水が加えられます。熟成には、数週間から40年以上かかります。果実とタイミングが素晴らしいカルヴァドスを作り出しますが、専門家の知識と経験、樽の木材、換気、熟成庫の相対湿度と温度も重要な要素です。

若いカルヴァドスは強いフルーティーな風味がしますが、年が経つにつれて減少します。たとえば、オーク材の影響により、ナッツ、タバコ、バニラ、その他のフレーバーノートが生まれます。呼称規則は、ブレンドされる原酒の特性についてのみの要件を定めており、それ以外のすべてはブレンドする者のスキルに大きく依存します。

飲酒

カルヴァドスはさまざまな方法でおもてなしでき、食前、食中、食後のいずれでもお楽しみいただけます。

• ストレートで、室温またはロックで、昔ながらの底の厚いグラスに注いでください。
• 食事と一緒にカルヴァドスのショットグラスを一口飲むと、消化が促進されます。
• カルヴァドス風味のコーヒーは冬にぴったりの飲み物です。カルヴァドスはお茶に加えられることもあります。
• ジュースやレモントニックで薄めて、レモンやリンゴのスライスを添えてお楽しみください。
• アップルジュースまたはサイダーで洗し込んだカルヴァドスを一口。